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経営ブログ

2020.10.20

森林浴とニューラルネットワーク

監査役 古川 正志

                                                                                    監査役 古川正志

今から5〜6年前かと思います.東京のあるIT関連会社が森林浴を目的に北海道旭川市で宿泊研修を行いました.旭川市は北海道の屋根と言われる大雪連峰を東に,そして十勝連峰を南に望み,市の中央でいくつかの川が石狩川に合流する盆地の中にあります.市の西には京都を真似て名付けられたと思われる嵐山があり,そのふもとには北方植物園があります.嵐山の頂上にある展望台からは旭川市内が一望でき,天気の良い時は大雪連峰や十勝連峰を見渡すことができます.

 嵐山のふもとからその頂上までは徒歩で30〜40分くらいで,その間の山道は大きな森林となっています.先の某IT関連会社はこの森林に目をつけ,約1週間,毎日森林浴を目的として社員が山径を歩き過ごすというものでした.

 森林浴は,ストレスの改善,意欲・エネルギーの回復,気分の改善,自律神経系の改善,などに効果があると言われ,その人体にもたらす有益な秘密はフィトンチッドと呼ばれる「森林の香り」あるいは「木の香り」にあるそうです.また,フィトンチッドは体をリフレッシュするだけでなく,抗菌,防虫,消臭などの効果もあるそうです.

 その会社の社長の話では,東京のオフィスでの疲労の回復や心身のリフレッシュにはうってつけとのことでした.勿論,早寝・早起きで飲酒等は禁じたそうです.その効果は帰郷後もしばらく持続し,また,オフィスに「森林の写真」の展示を行う,「森林の香り」の香料を置くことで,森林浴のリラックス感がより戻されるため,仕事の効率化も望めるのだそうです.

 社長と私の話の中で,どのような天気の時に「木の香り」フィトンチッドがたくさん木々から発生するのだろうかとなりました.そこで,国立大学を退職したのちに勤務した私立大学の研究室の学生に「木の香り」フィトンチッドの量をデジタル化することを卒業研究テーマとして行ってもらいました.幸いにも大学は野幌森林公園が目の前の場所にありましたので,野幌森林公園を10mほど中には入ったところで3ヶ月半ほど「香り」の測定を行いました.香りの測定は,臭い計を購入して行いました.測定には他にも天気,湿度,気温を記録しました.天気,湿度,気温を入力とし,臭いの強度を教師データ(ラベル)して三層のニューラルネットワークを学習させ,今日のこれらのデータを入力するとニューラルネットワークがその時の臭いの強度を出力できるようにしたのです.

 この研究を通して意外なことが分かりました.私たちは快晴で気温も高く湿度が低い時に「森の香り」すなわち臭い計の強度が最も大きな数値を示すことを想定していました.ところが臭い計の強度が最も大きな数値を示したのは,気温・湿度が高い雨上がりだったのです.この研究の目的の一つは森林浴に適した天候を調べることも含んでいたのですが,雨上がりが森林浴に適しているとは思えませんでした.

 森林浴をよく調べると,森林浴は「森の香り」だけではなく,青い空,木々の緑々した色,鳥のさえずり,小川のせせらぎ,木洩れ技の光,等が総合的に作用しているようでした.

 先日,テレビの天気予報を見ていてお天気キャスターが「雨上がりは水蒸気が地上近くに漂うで,香りがそれに付着し地面や草木の匂いがする」と話していたのを聞き,ふとこの話を思い出しました.

 

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