旭川の東方に見える大雪の山々も山頂の輝く冠雪が消え、春(夏)霞の向こうに黒々とした姿を表すようになりました。旭川に戻って気がついたのは大雪がはっきりと見えるのは春と秋が顕著なのだということです。夏は、熱気のせいか霞んでしまい、冬はよほど天気が良くないとその姿を表しません。
以前に推論について書きました。そこでは少々厳密さを離れて論理計算で「Aが真(正しい)ならばBも真(正しい)である」ことを論理計算で表現することを述べました。論理計算で「Aが真(正しい)ならばBも真(正しい)である」ことを、
A→B
と表現し、論理計算式では
A→B = ~(A⌃(~B))=~A⌵B
であることを示しました。ここで、⌃はandであり~は否定を意味しています。そして、この真理値表による計算は
| A | B | ~B |A⌃(~B)|~(A⌃(~B)) |
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| T | T | F | F | T |
| T | F | T | T | F |
| F | T | F | F | T |
| F | F | T | F | T |
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であることを示しました。
ところで、「Aが真であればBは真である」でAは前提条件、Bは結論と言います。前提条件が複数ある場合は、複数の前提条件をA1、A2、...、Anと表現して、「A1が真、A2が真、...、Anが真ならばBは真である」と書きます。これは論理式ではなく推論と呼ばれ、
A1、A2、...、An=>B
と推論式の表現を導入して記述します。推論式ではA1、A2、...、Anのどれかに偽が含まれることについては何も述べていません(前提条件の全てが真の時のみ、結論が真です)。一方、「AならばBである」をA→Bと表現し、矢印→を前回述べたように論理計算式の演算としまと下記の表の最後の列に示すようになることは前回に述べました(A→B = 〜A⌵B)。
| A | B |A⌵B|A⌃B|〜A|〜B|A→B|
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| T | T | T | T | F | F | T |
| T | F | T | F | F | T | F |
| F | T | T | F | T | F | T |
| F | F | F | F | T | T | T |
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そこで、推論式の「、」を論理計算の⌃とすれば推論式を
A1^A2^ ... ^An→B
と論理式で表すことにします。これを条件式と言います。この論理計算結果が全て真(T)となる時をトートロジー(恒真式)と呼んでいます。全ての結果が真(T)となることは、A1、A2、...、Aのそれぞれが真である時、A1^A2^ ... ^Anは真(T)となり、トートロジーが成立していると→の演算結果の表からBは真(T)となりますから推論式が成立していることになります。つまりトートロジーは推論式を一部分として含む関係となります。
簡単な例を挙げます。「A^Bが真であればAは真である」を推論式で表すと、A⌵B=>Aとなります。これを論理計算の条件式の表現にすると、A^B→Aとなります。そこでこの条件式を表のように計算します。
| A | B | A^B |A^B→A |
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| T | T | T | T |
| T | F | F | T |
| F | T | F | T |
| F | F | F | T |
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(ここでは、最後の列を先の表に従って→の計算を行っていますが、~( A^B) ⌵Aで計算しても同じになります。)
A^BとAの論理計算→の計算に(T、F)の組み合わせはなくA⌵B→Aの計算結果は全て真(T)となり、トートロジーが成立しています。従って、この推論式は正しいとなります。この簡単な例はトートロジーが推論式を証明することを示しています。
前提条件が二つある時を三段論法と言いますが、次回の機会で3段論法をトートロジーで証明したいと思います。