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経営ブログ

2020.09.10

再びネイピア数(自然対数)

監査役 古川 正志

                                                                                  監査役 古川正志

先日,名古屋からしばらくぶりの友人が札幌に来ているとの連絡がありました.早速,ススキノで夕食と誘いましたが,ススキノなんてとんでもない.コロナが収まってからにしようとなりました.

 

 今回も再びネイピア数(自然対数)の話です.

前回に引き続き指数関数の話になります.y=f(x)=axを指数関数と言い,スケールフリーの性質があることは前回のブログで述べました.ところで,微分をしても変わらない指数関数のaの値はあるのだろうかというのが,今日の話です.

 微分の約束を以下のようにします.xがほんの少しh増えた時,yはy=f(x)からy=f(x+h)に増えます.この増えた量f(x+h)-f(x)になります.この時,hを限りなく0にづけるときに{f(x+h)- f(x)}/hの比の値が限りなく近づく値を微分df(x)dx=dy/dxと言います.これを

  dy/dx=lim h→0 {f(x+h)-f(x)}/h

と書くことにします.指数関数に適応すると

  lim h→0 {f(x+h)-f(x)}/Δx= lim h→0 {ax+h-ax}/h

となります.問題は微分しても同じ関数になることですから,

  lim h→0 {ax+h-ax}/h= ax

になるaの値を決めることです.

  ax+h-ax= ax・ah- ax

     = ax(ah-1)

ですから,これを上の式に入れると

  lim h→0 ax(ah-1)/h= ax

となります.両辺をaxで割ると

  lim h→0 (ah-1)/h= 1

が得られます.この式を満たすaの値eをネイピア数と約束します.ところでeの値はどれくらいでしょうか.hがほ限りなく0の時は,(ah-1)/h= 1が成立します.これを変形すると

  (ah-1)= h → ah= 1+h →a=(1+h)1/h

となります.従って,aの値eは

  e= lim h→0 (1+h)1/h

となります.エクセルでh=1から0.1倍毎にどんどん小さくなるよう計算していくとeの値は,2から2.718282052...とある値に近づいていきます.n=1/hとするとh→0の時n→∞となりますから,この式は

  e= lim n→∞ (1+1/n)n

と同じになります.eを使用するとdex/dx=exとなります.

 y=axはxが決まるとyが定まる関数です.逆にyが決まるとxを決めたい場合が生じます.グラフではx軸とy軸を交換するようなものです.このような関数を逆関数といいます.指数関数の場合,この逆関数を対数と呼びx=logayと書きます.Y=x, X=yとすればY=logaXとなります.自然対数を用いるときはaを省略して,簡単にY=logXと書きます.

これを微分します.先ほどの約束に従って,

   dY/dX=lim h→0 {log(X+h)-logX}/h

となります.詳細は,省きますが

  {log(X+h)-logX}/h ={log(X+h)/X}/h = (X)(1/X)(1/h) log(1+h/X)=(1/X) log(1+h/X)X/h

と計算できます.(1+h/X)X/hはh→0の時にe= lim h→0 (1+h)1/h と同じ式になりますから

  dY/dX=lim h→0 (1/X)(1+h/X)X/h=1/X

となり反比例の式になります.不思議な感じがします.

 ところで銀行に元金をa円,1年の利息をa(n0<n<1)とします.利息は1年をn回で支払うと,期間ごとに増えた預金に対して1/nずつ利息がつくとします.i回目の預金高をSi(i=0,1,2,...,n)とすると以下のようになります.

  i=0   S0=a

  i=1   S1= S0+(1/n )S0= S 0(1+1/n)= S 0 (1+1/n)

  i=2   S2= S1+(1/n )S1= S 1(1+1/n)= S 0(1+1/n) (1+1/n)=a(1+1/n) (1+1/n)2

  i=3   S3= S2+(1/n )S2= S 2(1+1/n)= S 0(1+1/n) (1+1/n) (1+1/n)=a( (1+1/n)3

               ・・・

  i=n   Sn= Sn+(1/n )Sn= S n-1(1+1/n)= S 0(1+1/n) (1+1/n) ...(1+1/n)=a(1+1/n) (1+1/n)n

となります.元金aを100万円とします.1年を何回で預金するかを計算すると

  1回 100万円(1+1)=200万円

  2回 100万円(1+1/2)2=225万円

  12回 100万円(1+1/12)12=261.303万円(1ヶ月複利)

  365回 100万円(1+1/365)365=271.456万円(1日複利)

となります.利息の計算は(1+1/n)nとなっています.nを無限大にすると

  e= lim n→∞ (1+1/n)n

となり,約2.7倍になることが分かります.これが借り入れだと大変ですが.

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