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経営ブログ

2022.07.19

回転する物の中心(2)

監査役 古川 正志

今回は,剛体(変形しない物体)の移動(運動)を取り扱うつもりでしたが,ふと,円の接線は円に直角に接している,つまり,円の中心と接点を結んだ半径の直線と接線が直角をなすのは何故かについて思い当たってしまいました.この円と接線の性質は中学で教わるのですが,根拠なしにずっと使用していた気がしたからです.

 

 WEBで調べると次のような簡単な説明がありました.まず,円に交わる直線Lを引き,直線と円の二つの交点をAとBとします.円の中心点をOとします.更に,線分ABの中点をMとします.△OABは二等辺三角形になります(OA=OB=円の半径).Mは線分ABの中点ですから二等辺三角形の性質から線分AMと線分ABは直交する,すなわち直角になっていることが分かります.直線Lを円に接するまで移動してもこの性質は保たれます.円に直線Lが接した時の線分ABの中点Mを接点Tとすれば直線Lは円の接線となり,線分OTと直交します.

 

 図で描くと確かにその通りで直感的なのですが,証明としてはなんとなく誤魔化された気がします.そこで,高校レベルの微分とベクトルを用いて厳密な証明を考えてみました.この考えは前回の瞬間中心を考える上でも大切だと思います.

 

 やはり,中心をOとして半径rで回転している質点を前回と同じように考えます.ある座標系を設定し,その原点から中心Oへの位置ベクトルをpとします.ある時刻tで質点が位置ベクトルa(t)にあるとします.この質点が時間Δt後に移動した点をa(t+Δt)とします.

 

 先ほどの話ではa(t)が点A,a(t+Δt)が点Bに相当します.a(t)からa(t+Δt)に向かうベクトルはg = a(t+Δt) - a(t)となります.このベクトルの中点の位置ベクトルmm = (1/2)g = (1/2)( a(t+Δt) + a(t) )となります.ベクトルmはMに相当します.円の中心OからMに向かうベクトルrは,r = m - pとなります.

 

 △OABは二等辺三角形でMは線分ABの中点ですから線分ABと線分OMは直交するので,ベクトルgとベクトルr直交します.二つのベクトルが直交するとそれらの内積は0になりますからg・r = 0となります.これを元に戻すと

   {a(t+Δt) - a(t)}・{(1/2)( a(t+Δt) + a(t) ) - p } = 0

となります.両辺をΔtで割ると

   {(a(t+Δt) - a(t))/ Δt} }・{(1/2)( a(t+Δt) + a(t) ) - p } = 0

になります.ここでΔtを限りなく0に近づけると

   v = (a(t+Δt) - a(t))/ Δt  (Δt→0)

   (1/2)( a(t+Δt) + a(t) ) - p = (1/2)( 2a(t) ) - p = a(t) - p (∴a(t+Δt)→a(t))

となりますから

   v{ a(t) - p} = 0

が得られます.ここでvは接線ベクトルの定義に他ならず,a(t) - pは中心から接点Aへの半径のベクトルとなります.従って,円の接線ベクトルは中心から接点と直交することになります.

 

 高校で教わる微分の定義とベクトルの内積計算を用いましたので,少し難しかったかもしれません.でも円の接線が円と直交して接することが厳密に求められたと思います.これを逆に考えると,回転移動する物体の接線ベクトルが分かっていると接線ベクトルに直交する直線上に回転の中心,すなわち,瞬間中心があることが分かります.

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