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経営ブログ

2024.04.23

近道とピタゴラスの定理

監査役 古川 正志

 ブロック形状(長方形)の空き地(例えば駐車場)を斜めに横断すると近道になるのは生活の経験で誰もが知っていることです。ところでこの近道は長方形の辺に沿って対角の地点へ行く歩き方に比べて何%くらい近いのかを考えたりしないでしょうか。これは直角三角形のピタゴラスの定理を使えば簡単に計算できます。
 例えば30mと10mの長方形の空き地を斜めに横切ったとします。正方形の辺に沿って歩けば30m+10m=40mを歩くことになります。斜めに歩いた時は、長方形の一つの辺をa、もう一つの辺をb、斜めの道(辺)をcとするとこの3つの辺は中学校で教わるピタゴラスの式から
   c2 = a2 + b2
が成立しています。これを解くと
   c = √(a2 + b2)
が得られます。この式にa=30, b=10を当てはめると
   c = √(30x30 + 10x10)
= √1000
=31.6
を得ることができます。つまり斜めに近道をすると8.3mほど短い距離を歩くことになります。約20%楽をしたことになります。同じ計算をすると正方形のブロックの近道は一辺が10mとすると
   c = √(10x10 + 10x10)
= √200
=14.12
ですから20mを歩かなければならないところを約14mで済み、約6m楽をしたことになります。
 ところでピタゴラスの定理を証明してごらんと言われると中々厄介なものになります。中学では幾何学的に証明を教わった記憶があるのですが、厄介だったとの記憶しかありません。
もし高校で教わる余弦定理を知っていれば
   c2 = a2 + b2 - 2abcosθ
から導くことができます。aとbはある角を挟む二つの辺の長さ、cは残りの辺、θはある角の大きさです。そうするとある角θが90度であれば、この三角形は直角三角形となり
   cos 90°= 0
ですから
   c2 = a2 + b2
が成立し、ピタゴラスの定理が得られます。でも三角関数cosθが苦手という場合はどうしましょう。
 そこで辺の長さがXの正方形を用意します。正方形の4つの辺を長さaとbに全て時計回りに分けます。ここで
   X = a + b
が成立します。正方形の4つの頂点は長さaとbの辺の交わりとなります。ここで長さaの辺の頂点と長さbの辺の頂点を各正方形の頂点を真ん中にするように繋ぎ、4つの直角三角形を作ります。そして繋いだ辺の長さをcとします。
 ここで正方形の面積を計算します。長さXの正方形の面積Sは
   S = X x X
= (a + b)x(a+b)
となります。正方形の中にできた4つの直角三角形の合計した面積S1は
   S1 = 4 x [(1/2)axb]
    = 2 axb
になります。4つの直角三角形に囲まれな正方形の内部は一辺の長さがcの正方形ですからこの面積S2は
   S2 = c2
になります。
 正方形全体の面積は4つの直角三角形と内部にできた正方形の面積を足したものに等しくなりますから
   S = S1 + S2
が成立します。先に求めた値を代入すると
   (a + b)x(a+b) ¬= 2 axb + c2
が得られます。これを整理すると
   c2 = a2 + b2
が得られ、ピタゴラスの定理が証明されます。
 でもこんな長い証明もいやと思うかも知れません。最も短い証明は以下です。
直角三角形を用意し、直角を挟む2つの辺の長さをそれぞれaとbとします。直角の向かいの辺の長さをcとします。ここで直角となる頂点から向かいの辺に垂線を下ろします(辺に直行するような直線)。そうするとこの垂線で分割された二つの三角形と、全体の三角形は全て直角の頂点の向かいの辺の長さがa、b、cとなる相似な三角形となります。
 全体の三角形の面積をS、分割された二つの三角形の面積をそれぞれS1とS2とすると面積は辺の2乗に比例しますから、比例係数をEとするとS = S1 + S2から
   Ec2 = Ea2 +Eb2
が成立します。これから
   c2 = a2 + b2
が得られ、ピタゴラスの定理が証明されます。Ec2はどこかで見たことがありかと思います。この証明はアインシュタインが作ったと言われています。

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