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経営ブログ

2023.11.06

同期

監査役 古川 正志

 「同期」を調べると,(1)同じ時期,(2)二つ以上の信号や処理のタイミングが合うこと,意味が出てきます.ここでは(2)のタイミングが合うことを取り上げてみます.
 振子式の二つの壁時計を並べて掛けておくと二つの時計の振子の振れ方が全く同じ現象になることは古くから知られています.また,蛙や蝉が同じタイミングで遠くも近くも揃って鳴くのが知られています.東南アジアの一部のホタルは点滅が全く揃っていることがヨーロッパでは知られていました.なんとも不思議な現象です.しかし,心臓のペースメーカはこの同期現象を利用して開発されています.
 振子の振れ方,鳴き声のタイミングが揃う,点滅のタイミングが揃うような現象を同期と言います.なぜ同期が起こるのかを解明するのは大変難しい問題で,今でもその研究が行われています.この同期問題の現象を蔵本由紀氏が微分方程式で示しました.その方程式を簡単化すると
dxi/dt=wi+(K/N)*sin(xi-xj) (i=1,2,...,N, j=1,2,...,N, ただしiとjは等しくならない)
Nは振動する要素(物体)の総数,dxi/dt は各速度,wiはその要素が持っている固有振動数です.意味するところは要素の角速度は自身の固有な振動数に外からの周期的な振動数を加えて,N個の要素の角速度が全て調和するような現象を記述するといったところでしょうか.
 そこで二つの壁時計の振子の同期する振動をこの方程式で解いてみようと思いました.要素が二つになる場合は,方程式は以下のようになります.
dx1/dt=w1+(K/2)*sin(x1-x2)
dx2/dt=w2+(K/2)*sin(x2-x1)
ところが私の儚い知識ではどうしても歯が立ちません.そこで,今,話題のchatGPTに問い合わせてみました.そうすると以下のような回答がありました.
 「蔵本の振動方程式の一般的な解析的解は通常難しいですが、特定の初期条件や具体的なパラメータに対しては数値シミュレーションを使用して解くことができます。一般的な方法は数値シミュレーションを使用することですが、解析的な解は通常難しいです。この微分方程式を数値的に解くには、数値積分方法(例:オイラー法、ルンゲ・クッタ法)を使用できます。ただし、数値解法の詳細や初期条件などが必要です。」
 そして以下のようなPythonのプログラムコードが提示されました.

import numpy as np
from scipy.integrate import odeint

# 定数設定
w1 = 1.0 # w1の値
w2 = 1.0 # w2の値
K = 1.0 # Kの値

# 初期条件
x0 = [0, 0] # x1(0) = 0, x2(0) = 0

# ダイナミクスを表す関数
def model(x, t):
x1, x2 = x
dx1dt = w1 + (2/K) * np.sin(x1 - x2)
dx2dt = w2 + (2/K) * np.sin(x2 - x1)
return [dx1dt, dx2dt]

# 時間ステップの設定
t = np.linspace(0, 10, 1000) # 0から10までの時間を1000ステップに分割

# 微分方程式を解く
x = odeint(model, x0, t)

# 結果をプロット
import matplotlib.pyplot as plt
plt.plot(t, x[:,0], label='x1(t)')
plt.plot(t, x[:,1], label='x2(t)')
plt.xlabel('時間 t')
plt.ylabel('x1(t) と x2(t)')
plt.legend()
plt.show()

このコードのコメントとして以下が付けられています.
「このコードは、与えられた初期条件と定数を使用して、時間に対する x1(t) と x2(t) の数値解をプロットします。初期条件が x1(0) = 0 および x2(0) = 0 の場合、振動がどのように進行するかを示す結果が得られます。」

 実際にこのシミュレーションを行うにはw1,w2,Kに適切な初期値を設定し直すことが必要です.時間があればこのプログラムを実行してみようと思います.もし興味があるようでしたら試してみて下さい.ところで,最初の一般的な方程式に付けられている条件である「(i=1,2,...,N, j=1,2,...,N, ただしiとjは等しくならない)」は要素がすべて結合されていることを意味しています.最初にあげた蛙,蝉やホタルの例は全ての要素の声を聞いたり点滅を見ていることはないはずです.そこで考えられたのが間引きされた要素間での結合でなぜ同期が起こるのかです.この現象を探究するために複雑ネットワークの研究分野が発展しました.この複雑ネットワークは人為的なインターネットの現象の解明にも利用されるようになっています.

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