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経営ブログ

2022.08.22

回転する物の中心(3)

監査役 古川 正志

物が回転している時に,物体の回転速度が0であるような点を瞬間中心と説明しました.前回の話は物と言っても,質点か円盤が円の中心で回転するような場合を仮定しています.このような場合は円の中心を回転する円運動ですが,移動の中心(速度が0)である点と一致しています.

 ある物体が移動する場合を考えます.ある物体と書きましたが,この物体は力が加わっても伸び縮みのような変形をしない,つまり移動中に形を変形しないとします.このような物体を剛体と呼びます.

 物体がある位置Pからある位置Qへと移動したとします.物体の形は例えばはやりの雲(クラウド)形とし,移動中に変形はしないとします.この移動は,位置Pから別の位置Rに並行移動し,その後にある点で物体を回転移動して位置Qに一致させて実現できます.

 一方,ある中心を見つけるとこの物体を一度の回転である位置Pからある位置Qへ移動することもできます.この移動を行う時の中心を見つけられるでしょうか.

 今,物体の中に2点を決め,位置Pでのそれぞれの点の位置を点Aおよび点Bとします.また,回転移動した時の二つの点をA'およびB'とします.点AとA'と繋いだ直線をAA'とし点BとB'を繋いだ直線をBB'とします.直線AA'の中点をMとし,直線BB'の中点をM'とします.点Mから直線AA'に直交する直線をひきます.この直線をLとします.同等に点M'から直線BB'に直交する直線をひき,この直線をL'とします.さらに直線Lと直線L'の交点をOとします.この交点が物体を回転移動した時の中心になります.

 証明は以下のようにできます.

 二つの三角形OAMと三角形OA'Mを考えます.二つの三角形はAA'とOMが直交するから直角三角形となります.線分AMと線分A'MはMが直線AA'の中点ですからAM=A'Mが成立します.また線分OMは二つの三角形に共通ですから三角形OAMと三角形OA'Mは合同になります.従って,OA=OA'と角AOM=角A'OMが成立します.

 同じように二つの三角形OBM'と三角形OB'M'を考えます.やはり二つの三角形はBB'とOM'が直交するので直角三角形になります.線分BM'と線分B'M'は直線BB'の中点ですからBM'=B'M'になります.線分OM'は二つの三角形に共通ですから三角形OBM'と三角形OB'M'は合同になります.従って,OB=OB'と角BO'M=角BOM'が成立します.

 三角形AOBと三角形A'OB'について考えると,AB=A'B'(同じ物体の点を移動したから),OA =OA'( 三角形OAMと三角形OA'Mは合同により),OB=OB'( 三角形OBM'と三角形OB'M'により)で三辺が等しいので,合同であることが分かります.従って,角AOB=角A'OB'となります.この両辺に角BOAを加えると

   角AOB+角BOA=角A'OB'+角BOA'

から

   角AOA'=角BOB'

が得られ,α=角AOA'=角BOB'とすれば線分ABをα回転移動したものが線分A'B'になることが証明されます.この回転移動の中心はOとなります.

 ところでαを限りなく0に近づけると,前回の「回転する物の中心(2)」で示した円の接線は円の中心に直交する条件に一致しますから,回転する物体の線分ABの端点Aと端点Bの接線方向が分かっていれば,回転する物体の中心は端点Aと端点Bの接線に直交する直線の交点として求めることができます.機械工学では回転するものの中心は回転移動する2点の二つの接線にそれぞれ直交する直線の交点と約束しています.

 何故このようなことが必要となるかというと,ここで導かれたことはいくつかの要素(リンク)で結合された運動の解析に必要となるためです.例えば,人間の腕は手,一の腕,二の腕の3要素でできていますし,多関節のロボットはリンクすなわち要素がたくさんあります.また自動車のエンジンもピストンはリンクで繋がれた機構になっています.これらの動きの解析がそれぞれ回転の中心を持つと考えると,運動解析(計算)が簡単になります.

 

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