HOME  > 経営ブログ > 監査役 古川 正志 > レタスとフィボナッチ数列

経営ブログ

2021.06.21

レタスとフィボナッチ数列

監査役 古川 正志

最近,友人の菜園の手伝いをしています.5年も使用していなかった畑なのでオヒニアやスギナが生え放題でした.まず,スコップで土をおこし,鍬でならし,畝を作りようやくホームセンターで色々な苗を買ってきて植えました.苗の一つにレタスがあります.その時,ふと思い出しました.

 レタスの葉の生え方の方角です.植物は,2方向,3方向,5方向,8方角から芽が出ることが知られています.

 ところで長さ1の正方形を配置します.次にその右横に同じ大きさ,つまり長さ一の正方形を配置します.そうすると横に長い長方形ができます.出来上がった長方形の上に同じ大きさの長方形を配置します.そうすると全体で縦に長い長方形ができます.出来上がった長方形の左に今できたのと同じ長方形を配置します.今度は全体で横に長い長方形となります.この操作を続けると出来上がる長方形の長辺の長さは,1,1,2,3,5,8,13,21,...となります.この数字の並びをフィボナッチ数列と呼んでいます.ここでできた新しい長方形の対角線の点をつないでいくと螺旋を描くことができます(興味ある方は紙に描いてやってみて下さい).先ほどの植物の葉の生え方の方角はこの数列の数と一致しています.

 レタスの葉はこの螺旋の形を作るように葉の芽が出てきます.この螺旋を作るように植物が葉を配置するのは,太陽の日差しを最も効率よく受けるためで自然界の知恵と言われています.

 面白いことにフィボナッチの螺旋には自然界で見られるたくさんの形象が一致しています.例えば,台風の作り出す雲の渦巻き,アンモナイトの渦の形状,ヒマワリの種の配置,松ポックリの鱗の配置なのです.

 フィボナッチ数列を初めて知ったのは,私の恩師である沖野先生の講義でした.講義内容は,非線形関数の最小値がどこにあるかを見つけるのにどうしたら良いかで,ある区間を定めてその区間内の最小値を決定する方法です.最小値を求めていくには区間両端の値とその間の2点を計算し,4点でできる3区間の内で1区間(右端か左端)の区間を切り捨てて探索範囲を狭めます.ついで残った区間の中に1点を配置しその値を計算し,新たにできた3区間で,更に1区間を切り捨てることを行い,これを繰り返していくことにより十分な小ささの区間を残したときに,この区間の中に最小値が残るというものでした.これを最も効率よく行う方法がフィボナッチ探索と呼ばれる方法です.区間内に新たに1点を決める位置を,最終区間の長さの1,2,3,5,8,...倍とすると決めることができました.

 自然界の知恵は,エンジニアリングの世界に対しても顔を表す不思議さがあります.今日は,友人の菜園のレタスが本当に螺旋になっているかを確かめてみたいと思います.

 

経営ブログ著者一覧
澤田 知宏代表取締役社長澤田 知宏
成田 輝満取締役成田 輝満
加藤 哲也取締役加藤 哲也
古川 正志監査役古川 正志

月別アーカイブ

過去の記事一覧

  • RSS FEED
  • RSS FEED
  • ビジネスパートナー募集