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経営ブログ

2011.04.25

ビスケットの思い出

監査役 久末 博昭

 小学生のころの記憶というのは,ほとんど薄れてしまったのですが,不思議とお菓子の思い出だけは少し残っています。

 おなかをすかして家へ帰ってくると,時々母親は高い棚の上においたブリキの大きな缶を取り出して,そこからお菓子を一掴みとりだして子供達に配りました。私は兄弟が多く,たべものの争奪戦は大変でした。母親の哲学は,兄弟はすべて均等配分ということでしたから,配分をめぐってもめることはありませんでした。ただ,たべるスピードが違うので,私はいつも一番先に食べおわって,他の兄弟がうまそうに食べるのをうらやましげに見ていました。

 私のお気に入りのお菓子は英字(アルファベット)の形をしたビスケットでした。一人当たりの配給が4個か5個でしたから,一番面積の大きい英字はどれかが気になりました。並べて英単語をつくるなんて考える兄弟達ではないので,いろいろと交換をしながら,どうすればたくさんたべられるか考えたものでした。

 ある日,お茶碗にお茶をいれ,ビスケットをいれてふやかして面積を大きくする技を思いつき,しばらくその方法で満足していました。他の兄弟達にも教えたのですが,まずくなるといって,この技はつかってくれませんでした。確かにふやけたビスケットは,あまりうまいものではありません。

 学校から帰ってくると,ビスケットを食べながら,ねそべって漫画をよんだり,テレビがなかった時代なので,ラジオを聴いていました。どんな番組を聞いていたか,今となってはまったく思い出せません。ただ,静かな時間がながれていたような気がします。今でも時々ラジオを聴くことがありますが,むしょうにあの時代の静かさが懐かしくなります。周りが一様に貧しく,同じような生活をしていましたが,多くの子供達は明日には「何者」かになろうとする希望にあふれていたと思います。

 大震災,原発事故,計画停電と,次々と不安な問題が押し寄せてきますが,明日はなんとかなるという希望を持ち続けている限り,道はひらけるのはないでしょうか。多くの先祖達,親達,そした私達自身が過去そうやって問題をのりこえ,歴史をつくってきたのですから。