子供の時,私は暗記が得意だったようです。小学校の教科書の出題範囲を丸暗記するぐらい平気でやっていました。別に頭が良いわけではなく,暗記する作業に労をいとわなかっただけでした。試験が近づくと教科書を何度も大声で読み返したり,紙に書きまくったり,体全身を使って暗記することに集中しました。
暗記した文章の穴埋め問題など,あっという間に回答を書いて,真っ先に教室から出てくる時の快感は忘れらませんでした。ところが中学に進むと,この暗記作業が,なんとなくカッコ悪いような感じがして,理屈で覚えようとノートに整理とかするようになって,成績はさっぱり上がらないという結果になってしまいました。
SEの大事な資質のひとつとして暗記する能力があります。プログラミングというのは煎じつめると文法を覚えて,作業の流れをある種の言語を使って書き記していく作業なので,必要なことは記憶しておかないとダメでしょう。
毎回毎回参考書をながめるようでは仕事がはかどりません。それと私の経験から言うと,プログラムのデバッグは,そのソースプログラムのほとんどを記憶していないと,原因のあたりをつけられません。
年齢とともに記憶力はおとろえていきますから,プログラミング技術は若い時代でないと身につかないと思います。プログラミングはSEの基本の基であり,この経験・スキルがないといつまでもSEとして不安感が残ります。だんだんプログラミングの仕事をさけるようになり,ものづくりの,辛さ,怖さ,楽しさ,達成感を肌で感じる経験を積めません。やはりプログラマーの気持ちがわからないと,SEとして一人前になるのは難しいのではないでしょうか。
私も入社して3年間は営業支援的な仕事が多く,プログランミング経験のなさが技術の不安につながっていました。運よく4年目から銀行オンラインの開発プロジェクトに参加でき,アセンブラー言語でいやという程,オンライン制御系プログラムを書いて,ようやくSEの土台ができました。
とはいうものの,私自身はプログラミングがあまり得意ではなく,当時の先輩にずいぶん助けられたような気がします。プログラミング技術は書いても書いても,あまり向上しませんでしたが,これらのプログラムの設計過程でいろいろなことを学び,記憶し,本番稼働するシステムをなんとか作り上げたという達成感は,SEという仕事を続けていこうとする動機付けになりました。
SEへの第一歩は,プログラムを数多く作ることから始まります。多少カッコが悪くても体を使って知識を詰め込むという時期があっても良いと思います。

